スケッチブック総括:原案

 

 スケッチブック〜full color's〜(全13話) 7点
 http://www.sketch-full.net/

 福岡の高校を舞台に毎回、「いつもとちょっと違う出来事」と「主人公たち」を淡々と綴るアニメ。同名の四コマ原作とは別物と思った方がいい。シュールなギャグは随所に散りばめられているものの、原作ほどのシャープさはなく、どちらかというとアクセント程度。(但し5話と11話の猫回は除く)

 美麗な背景とBGM、緻密な作画*1で、「癒し系」「ほんわか」とも言われてはいるが、その実、キャラクターの癖が強く、定型の萌え要素成分は薄いので激しく人を選ぶ作品。ただし、一度この世界観を良いと思ってしまったら、あとは、じわじわ深みにはまって行くだけ。

 劇的な展開がなく、そのため「毎回が最終回」と言われる位一話一話がそれ自体で閉じている。が、その裏で「お話を通して少しずつ変わっていく (あるいは成長していく)主人公」という連続したテーマを持ち、そのテーマが一気に収束する最終話BパートCパートは圧巻。もしくは、12話までの描写は話として独立しながらも、この為の布石なのかもしれない。ただし、そのテーマを消化する為か、作品通じて随所に不自然に叙情的な語りが多かったりするのはマイナス。

 7点という評価は「細かい所まで配慮の行き届いた空気系アニメ」という視点から見た場合。はっきりした物語がないと面白くないという人は3点以下の評価をするだろうし、最後まで見て、「ほんわか」以外の要素にどっぷりとはまってしまった人は9点、もしかしたら10点をつけるかもしれない。僕個人としては間違いなく10点の作品である。

 備考:この作品を鑑賞する時には、ヘッドフォンなど、細かい音が拾える環境で見るべき。細かいSE、エフェクトの使い方が半端なく多彩なので。*2


各話点数(☆:2、★:1)*3

1:☆☆★
2:☆☆☆
3:☆☆☆★
4:☆☆☆☆☆
5:☆☆☆☆★
6:☆☆☆☆★
7:☆☆
8:☆☆☆☆★
9:☆☆☆
10:☆☆☆☆
11:☆☆☆☆★
12:☆☆☆☆★
13:----------

*1:ここでは、キャラクターの表情の変化、及び動きを指しとく

*2:例えば合唱部、美術室の声の響き、第六話Bパートラストの神谷先輩の起きる時の声など。ヘッドフォンで聴くと、時々外の雑音とこの作品のSEの区別が付かない時がある。

*3:全話見るのが前提なので意味あんまりないけど