私の名前は観鈴

父親がつけてくれた名前らしい。何でも「大切な人」の名前だとか。母さんを差し置いて私にそんな「大切な人」の名前をつけるというのも子供ながらにおかしいと思ったのだけれども…、

「み・す・ず。凄く綺麗な名前よ。あの父さんからこんな名前が出てくるとは思っても見なかったわ」

と屈託なく答える母さんを見て、なんかどうでも良くなってしまう。


私は自分の名前が好きだ。そして自分がその名前で呼ばれるのが好きだ。好きだった。


だから、父親の大切な人を見たとき、そしてその人がいろいろな人に弄ばれているのを見たとき、私は言い知れない何かを感じてしまったのだ…。



「萌え〜」
「みんなで観鈴ちんを囲んで」
「白○うぜー」
「にははっ、まぶしっ」



はじめは多分義憤から…。でも、だんだん何に怒っているのかわからなくなった。戦いは長くは続かず、最後には観鈴も父も拒絶するようになって、しばらくの間、塞ぎ込むようになった。

そして、最近の話、

「ねえ父さん?」
「ん?」
「私の名前、適当に決めた?」
「いや、そんな事ない。結構考えたぞ」
「…本当にぃ〜?5分で決めたとか、そういうのじゃないの?」
「そんな事ないぞ。ほら、その、た、大切な一人娘だからな、2週間目いっぱい考えた。仕事も手につかない位」
「……まあ、そういう事にしておきましょうか」
「……」
「……」
「あ、そうだ」
「何?」
「結婚する時は神尾さんちの人とな」
「(#^ω^)」


参考記事:
http://tvmania.livedoor.biz/archives/50591861.html
http://d.hatena.ne.jp/kanose/20060808/purelove
http://d.hatena.ne.jp/katawa/20060611/p3